映画を中心とした興味
by sonobasho
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イム・サンス監督「浮気な家族」にムン・ソリのしなやかな肢体を見た
いやーこれが意外に、ちょっと一本取られちゃったなと、ニヤニヤしてしまいました。
韓国映画の重力からもメロドラマの湿度からも抜け出して、かといって野心作という敷居の高さも設けずに、あくまでも軽妙に、そして透明に、エロスとタナトスを往還するソープオペラを見せてくれます。(ストーリーだけ聞くとどうにも昼メロだし、公式サイトなどでの画像もなんともありがちなホームコメディっぽい感じですが、そういった紋切り型に対してはやすやすと裏切られます。また、物語性や感情移入といったことを期待されるのであれば、すっかり置いてけぼりになってしまうかもしれません)

目をみはったのは、ムン・ソリ(*1)の身体性が如実に発揮されていること! ダンスの稽古のシーンや、夜中に裸でくつろいでいるシーンに見られる、しなやかな肢体といったら! 少しの贅肉もなく、手足がスラリと長く、柔軟性に富んだその身体は、美しいというほど凡庸なものではなく、また艶っぽいというほど精彩を欠いたものではなく、なんというか運動する実存そのものとさえ言ってしまいたいくらいです。

それから印象深かったのは、人間が意図せずに口から何かを吐き出すのを見たことです。死病の父親は鮮血を吐き出す、息子の亡骸と対面したムン・ソリは思わずえづいて吐いてしまう、そして、窮状の中ついに隣宅の高校生と事に及んでしまうシーンでの、夜の稽古場におけるロングショットで捉えられた騎乗位のムン・ソリの口から洩れる呼気が見えた(*2)のは、人間の生が目に見える形をとったもののように見受けられます。

あと全体的にかなりテンポが早く、あれよあれよと目まぐるしく展開していくのですが、後からふと気づくと、物のアップのシーンが全くといっていいほどなかったのでした。
また、なんでシネスコにしたのかというのも気になるところです。しかも、フィックスで撮るよりも割と動かしている(時々かなり不安定に揺れる)ので、ちょっと居心地の悪いような空間になっていたりすることも印象的です。

(*1)今週号のAERAの表紙写真になっています。(普通に美人な姿で写っていて、「オアシス」のイメージがあったため、一見誰だかわかりませんでした。なお、本作ではムン・ソリの設定は美人妻ですが、やっぱりなかなかキレイな女優さんです)

(*2)そういう印象がしたとか誇張とかでなくて、本当に画面上に呼気が映っているのです。夜中の稽古場のがらんとした空間で明かりもなく、月光(または外の照明)が窓から射してかすかな光の帯をなしており、そこに2人のシルエットが浮かび上がるとともに、ムン・ソリの口から何度も白い息が洩れるのが見えます。このシーンは美しいとか感動的とかいうのでなく、あまりに冷徹で驚きました。


(参考)dolceDalnaraさんによる「浮気な家族」の感想です。(韓国の社会背景などに触れられていて興味深いです)→獲得と喪失  

浮気な家族 A Good Lawyer's Wife
2003年/韓国/カラー/35mm/104分/シネマスコープ
監督・脚本 イム・サンス 出演:ムン・ソリ ファン・ジョンミン ユン・ヨジョン
渋谷シアター・イメージフォーラムにて 7/16(金)まで上映中
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by sonobasho | 2004-07-15 23:41 | どう観たか?
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